INTERVIEW
写真家
小澤 太一photographer / Taichi KOZAWA
取材:本間泉 撮影:Kim
最先端技術の両面インクジェットプリンター、キヤノン「DreamLabo5000」による出力とプロによる製本。
素材、色の再現性に拘ったワンランク上の写真集、「art+books」。
今回は、世界中で撮影をされる写真作家、小澤太一さんに「IJBOOK品質で作る
写真集」制作の感想をお伺いしました。
―今回、写真展「レソト日和」の写真集を通常のオフセット印刷ではなくインクジェット印刷のDreamLabo5000で制作して頂きましたが、その仕上がりについての感想をお願いします。
普通に答えちゃうと大満足。 (こういう仕事をしているので)印刷という概念を持っている身からしても想像以上の大満足度、最初は驚きを感じました。 印刷というのはどうしても写真と違うのでどこかで諦めなくてはいけない部分があるなというのは常に思っているんですね。写真プリントがMAXで、印刷して写真集にすると、それよりも必ず品質として劣ってしまうところの、半ば「諦め」の部分があるのを承知のうえでやっているんですが、そうではなくて、「まんま」いけるというところでインクジェット印刷で1冊の本になったときの驚きはやっぱりすごい。
―作家として、諦める必要がなくなった、と。
そうですね。妥協…?(少し考えこんで)そうですね。諦めなくてよくなった。 必ずゴールを目指していても100点には届かない。100点っていうのは色の再現性においてはプリントのほうが高いというところでね。それが100点に到達できるところはすごいな、と。絶対に言い訳しちゃうんですよね。本当はもっとできるのに、とか。ああいうのがなくなるのは本当にすごいな、と。
―作品展の展示物と出力の形式は違いますが、展示物が100点として、DLの品質は同じくらいのレベルに到達していると考えてよいでしょうか?
同じゴールではないと思っています。展示物は大きさとか、距離とか、そういうところもあるので、異なる演出の仕方で魅力が出せると思っています。 展示作品と写真集は同じものではないですが、今回もう一つの作品(写真集)も想像以上に良いものが残せたという感覚があります。
―用紙の面質にラスターを選ばれた理由を教えてください。
ラスターの質感が素敵だったので。光沢って写真っぽいんですが、「写真っぽい」イコール「写真集っぽい」かというと、それはちょっと違うと思っているんですよね。本は手に取ってもらう部分が多いので、光沢にすると指紋が目立ってしまいますし。(ラスターの)粒子の感じも外国の写真に合うんじゃないかな、というところのバランスですね。色は出したいけれども、そのまま光沢ではない。黒が生っぽく見えていいんですよね、こういう感じ。これは僕が普段のプリントでラスターを使うときにも気にしているポイントですね。
―キヤノン純正フォトペーパー紙を使っていますが、紙の厚さなど気になりませんでしたか?
普通の写真集とは感覚が違う、というのは確かにありますが、薄くはないし、これはこれで良い感覚。高級な感じがします。魅力的なページの厚さになっていると思います。